犬猫の歯磨き!オーラルケアについて
こんにちは、獣医師のハチワレです。
今回はワンちゃんネコちゃんのオーラルケアについてです。
ペットがそばに来た時、口が臭うことはありませんか?口臭の原因の多くは歯周病によるものです。犬猫の歯周病はなんと3歳以上の75%以上にあると言われており、口臭だけでなく心臓、肝臓、腎臓など全身に悪影響を及ぼします。
私たちは毎日食後に歯を磨きますよね。ペットたちも同様に子犬、子猫のうちから歯磨きを始めとしたオーラルケアを慣れさせて日々行いましょう!
歯と全身の健康を保つために重要なオーラルケアですが、自宅でのケアと動物病院でのケアがあります。順番にご紹介します。
自宅でのオーラルケア
歯磨き
歯磨きは毎日が理想ですが、歯垢は3日程で歯石になるため3日以内に歯ブラシを行いましょう。歯ブラシは毛が柔らかくヘッドが小さいものが良いです。ペット用にこだわる必要は無くワンちゃんの場合は子供用の歯ブラシでもOKですし、ネコちゃんの場合はタフトブラシが使いやすいと思います。
歯磨き中に出血や痛みがある場合は、無理せず獣医師に相談してください。
〜歯磨きをする前の準備〜
おやつなどのご褒美を与えながら口の周りを撫でることから始め、歯茎を触られることに慣れさせます。
最初は数秒から始めて無理をせず、その都度褒めて少しずつ歯磨きの時間を増やして行き、とにかく楽しくて良いことだと認識させていきましょう。
口周りを触られることに抵抗がなくなってきたら、ガーゼや歯磨きシートを巻いた手で歯を軽くこすります。
これに慣れてきたらおやつを与えながら歯ブラシを見せたり、口周りに軽く触れさせて慣らします。
〜歯ブラシでの歯磨き方法〜
歯ブラシを歯に対して45度にします。そして、歯と歯肉の間の溝である歯周ポケットの汚れ(歯垢)を掻き出すように優しく力を入れずにブラッシングします。
特に犬歯(キバ)と上顎の裂肉歯(上の奥の方にある一番大きな歯)が汚れやすいので、この部分を念入りに磨きます。
歯ブラシは水で湿らすか、歯磨き粉をつけて行いましょう。人間用の歯磨き粉は使わずに必ず犬猫用のものを使ってください。
デンタルガムやオヤツ
美味しいのでペットたちも喜んで協力してくれるはずです。市販のデンタルケア用ガムを使用してください。硬い蹄(ひづめ)や硬い骨は、実は歯が欠けたり歯に良くないので決して与えないでくださいね。
デンタルリンス、スプレー
飲み水に入れるもの、歯にスプレーするものなど色々あります。
リンス、スプレーを行った場合は30分飲食を控えてください。
サプリメント
口腔内の善玉菌を増やす、または歯周病菌を減らすものがあります。
フード
歯周病予防用の療法食があります。味を好んでくれるならとても与えやすいと思います。かかりつけの動物病院に相談してみてください。
自宅でのオーラルケアは上記5つを組み合わせて行うと効果的です。
特に大事なのは歯ブラシですが、どうしてもできない子でも日々歯磨き粉を歯に塗り付けたりや歯磨きシートで擦るだけでも効果があります。是非できるものを探してやってみましょう。
動物病院でのオーラルケア
スケーリング(歯石除去)
歯垢は歯石になると歯磨きなどでは取れません。私たちが歯科医で定期的に歯をスケーリング(スケーラーという器具を使って歯石を除去して綺麗にすること)してもらうように、ペットたちもスケーリングを定期的にすると良いでしょう。
ただ、ワンちゃんネコちゃんの場合は全身麻酔が必要となり、麻酔前の検査も含め数万円と費用もかかります。そしてスケーリング後も綺麗な歯を保つには、日々のオーラルケアが必須となるため自宅でのケアができるようになることがとても大切です。
無麻酔下でのスケーリング(歯石除去)は危険が伴うのでお勧めできません。
無麻酔で処置をする際にじっとしていられない子も多く、動いてしまうと口の中を怪我してしまう可能性があります。特に歯周病で顎の骨が溶けて脆くなっている場合は処置中に器具を噛んだり嫌がったらすると顎の骨が折れるという最悪な事態が起こることもあります。
自宅でのスケーリングも同様の理由でお勧めできません。
老齢や病気で麻酔をかけて歯石除去ができない子でも自宅でのオーラルケアは口腔内菌数を減らすことができ、口腔内環境改善に繋がるので是非行いましょう。
いかがでしたか?以上オーラルケアについてでした。
まとめの一言は是非毎日歯磨きしましょう!
今日にでも口を触ることから始めてみてくださいね。